「英文法で困ってます」
このような声を現場で多く耳にするようになりました。
受験学年でも準動詞(不定詞、動名詞、分詞)は聞いたことはあるけど、それらが何なのかわからないという人がかなり増えました。初めて会った高校3年生に「仮定法現在って何かわかる?」と聞いても答えられる人は30人に1人くらいです。
かといって、文法をまったくやっていない訳でもなく、ネクステージという問題集を片っ端から解いて解説を丸暗記するスタイルをとっている生徒が多いのが気になります。今回は「文法に困ったらこれをやれ!」を紹介したいと思います。
山口英文法講義の実況中継(上下巻)は端的に言うと、ひたすら問題を解いていくスタイルではなく、山口先生が鋭い解説をしてくれる実況中継型の本です。問題が数題だされ、それについて解説する形式です。
この本で解説されている中身(すなわち知識)がごっそり抜けている高校生が最近のコミュニケーションスタイル重視の授業で増えてきたので、このような文法書は今の時代、大変重要です。文法をやらないと、読解や英作文で自分がなぜ間違えたか分からないままになるからです。
(ちなみに山口の英文法は開成高校1年で副教材として採用されているとジュンク堂書店で知りました。)
たとえば、次のような和文英訳が出たとします。
1.私は昨日、3時間英語を勉強した。
2.私は先週、3日間入院した。
3.私は先月、トムのところに1週間泊まった。
4.私は去年、東京に3か月滞在した。
5.私は子供のころ、3年間パリで暮らしたことがあった。
(この中で多くの人が間違うのは5.かもしれません)
正解はそれぞれ、
1. I studied English for three hours yesterday.
2. I was in (the) hospital for three days last week.
3. I stayed with Tom for a week last month.
4. I stayed in Tokyo for three months last year.
5. I lived in Paris for three years in my childhood.
日本語の表現につられて過去完了を使ってしまいがちですが、すべて過去形です。
「過去完了とは、基準になる「時」が過去である場合だけ過去完了が使われる」
というルールがあります。
つまり、
「私がバス停についたときには、もう最後のバスは出発してしまっていた」
このような文章なら過去完了はOKです。
The last bus had already gone when I got to the bus stop.
先ほどの5.も「子供のころ」は過去の話で、「パリに住んでいた」ことも同じく過去の話です。もし「パリに住んでいた」を過去完了にしますと、「子供のころ」よりもっと前のことなので、赤ちゃんのときか、生まれてくる前の話になってしまいます。
こんな具合に丸暗記ではなく、英文法の仕組みを説明してくれます。
英文法に困り果てている人は山口の英文法、上下巻をやってみましょう。
1冊1100円と安く買えます。
そして、みっちりと仕組みを叩きこんでから、持っている問題集に移りましょう。