東大英単語熟語である鉄壁。この本は駿台のシス単、Z会の速読英単語、ICPのDUOと並んで非常に有名な単語帳である。
ただ、少し気になるのがこの本を使いこなせている人が案外少ないということ。
どうすればこの本を活用できるのか、いったいどのレベルの生徒なら使えるのか、今回は具体的に細かく見ていきたい。
この鉄壁は一言で言うなら、山川の用語集と同じである。
用語集を使って世界史や日本史をゼロから覚えていく人がいないように、こちらの鉄壁も掲載されている単語の3割ほどしか知らない状態で使うと、労多くして益少なしになる。
使う人を選ぶ。正しいレベルの人が使うと効果がある。そんな単語帳である。
では、どんなレベルの人が使うとちょうどいいのか、具体的に挙げてみたい。
・高3春の河合の記述模試で偏差値65以上出ている人。高2なら70以上。
・すでに英検準1級を取っているか、合格一歩手前の人。
・発音記号をちゃんとマスターしてる人(カタカナ表記はない 別売りCDはある)
・英語の勉強は単語中心ではなく、長文読解がメインだと理解している人。
上記に挙げた条件をクリアしてる人には、非常にいい単語帳になる。辞書にはあまり載っていない図や語源の解説、類義語の違いなどが詳しく出てくるので知識を補強してくれる。
では、鉄壁を使うレベルに至っていない人が、どうすれば鉄壁を使えるレベルになるか。
それは、まず順番として、Z会の速読英単語の必修編と上級編、そしてDUO3.0をやりこんでいる(もしくは既に9割以上知っている)のが最低条件である。これらの本は初めての単語でも対訳本のようにストーリーや短文で覚えていける。これらで単語にいったん出会っておき、さらに河合のやっておきたい長文シリーズで再び何度も出会ってストーリーで絡ませて記憶に残るようにしておく。
そして、余力があれば、鉄壁で確認して深く理解する。こんな流れでやるとちょうどいい。
間違ってもいきなり本書から入ってはいけない。数学でいえば、黄色チャートが解けないのに、薄くてよさそうだからと東京出版の一対一対応の演習に手を出すようなものである。
本書の正しい使い方は、
・すでに知っている単語の確認。
・地歴の用語集のように調べものとして。
つまり語彙力を2000から7000にするのには向いておらず、すでに7000知っている語彙をさらに深く理解するのに向いている。
単語を本当に覚えようと思ったら、長文で何度も出会い、単語との思い出を作る。
単語の覚え方は本来はこれが王道である。
卒アルで同級生の顔と名前を覚えようとしても覚えられないが、学校生活を通じて、様々な思い出があるとしっかりと記憶に残る。単語もストーリーに絡ませて思い出を作るのが大事で、人に作ってもらった単語帳だとストーリーで覚えるのが困難なのだ。ここは気を付けておきたいところ。
本書は知識の確認、調べものとして活かそうとするなら、読み物としては非常にいい相棒になる。その際は、必ず別売りCDも購入して、音声と一緒に単語を確認していきたい。