現在2025年度の慶應義塾大学の入試が行われています。
X(旧ツイッター)では、「難しかった」「難化した」という声が聞かれます。どんな問題が出題されているのか大雑把に見てみます。
まず、慶應理工からです。印象的な問題は和文英訳でした。
「すぐ役立つ人間はすぐ役立たなくなるとは至言である。同様の意味においても、すぐ役立つ本はすぐ役立たなくなる本である」
まるで最近のXやYouTubeなどで目立つことばかり意識した流れに警鐘を鳴らすかのような文で、ハッとさせられるものがあります。
todayとtomorrowを使って英作させるものですが、安全策で書くと、
Books that are useful today are useless tomorrow.といったところでしょうか。
「すぐ」はsoonやimmediatelyを使わずに、todayとtomorrowで代用します。
もしくは、
Books that help you today will betray you tomorrow.と気取った言い方もできるかもしれません。
気づいた点としては、2024年度や2023年度と比較すると、文が短くなっていることです。記述式は2023年度から導入され、90字から110字の要約問題が出ていましたが2024年度では姿を消しましたので、今年も出ないのではないかと思っていました。理工学部だけで8000人以上受験するので、採点が大変だったのではないかと思います。
今年の理工の英語は全体的には語彙レベルが落ち着いており、易しめになった印象があります。
次は慶應商学部の英語を見てみましょう。
Xでも話題になっていましたが、(30)の問題があまりよくない気がします。
正解はquestionable as toですが、通常はas toを後ろに付けないのです。
dubious aboutとsuspicious ofはどちらも人を主語にとります。それに対してquestionableはitを主語にとりますので、find itとあるのでこちらが正解になります。
ただ、受験生にここまで細かい知識を要求するのはちょっと厳しい気がします(早稲田理工の英語よりはマシですが)。
そうかと思うと、(31)ではよく目にするunless otherwise notedなども出題されており、難度がばらけてる感じです。ただ、全体的にはやや難しくなった印象を受けます。
慶應商学部の数学もここ数年は難しい傾向が続いています。
次は慶應経済学部の英語です。
経済は長文の中で語彙や文法を試してきます。今回は難しいものが出ました。
Consider the major ancient civilizations, ( ) Mesopotamia, Ancient India, China, Greece, or Rome.
①as ②be it ③including as ④such like
正解は②のbe itになります。接続詞を用いるなら、though it may beです。
動詞の原形から始まるものは命令文だけでなく、仮定法現在もあります(命令文も厳密には仮定法現在ですが)。ここでは「譲歩」を表す、「~であれ」を意味するbe itにします。
「メソポタミア、古代インド、中国、ギリシャ、ローマ(であれ)、主要な古代文明について考えてみましょう」という意味です。
解けた人は少ないのではないでしょうか。
仮定法現在とはどういう意味か答えられるか?は決して文法マニアの問いかけではなく、入試問題で役立つ知識となります。
どの設問も文法の確かな基礎が問われているのが分かります。
早慶の問題(主に慶應)は学部にもよりますが、基礎の組み合わせから来る難しさがメインだといえます。