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語学の上達法 

「どうすれば単語を覚えられますか?」とよく生徒から聞かれる。

 

授業で単語テストをするかしないかかつて迷ってた時期があった。実は単語テストをしない方が生徒の成績は良く、大学にも受かりやすいという傾向があった

 

単語テストをすると、生徒は往々にして単語を覚えることに意識が行きがちで、長文をなんども読むということをしなくなる。単語を個別に覚えていくくらいなら、長文または短文を覚える方が効果的なのだ。

声に出しながら、長文や短文を手を使って何度も書いてみるのはとても効果的だ。それでも単語単体で覚えるよりも長くなるので挫けてしまうことがある。そんなときはどうしたらいいのか。英語以外の世界に目を向けると、語学上達の本質を突いた話が載ってることがある。

ここでは関口・初等ドイツ語講座中巻の最後のページにある読者と講師のやりとりを紹介してみたい。


「引用開始」

読者:何かこう、語学に上達する秘訣といったようなものを紹介していただけませんでしょうか。

 

講師:そうですね、では本講座の読者に限って、目下専売特許出願中の、10箇条からなる「語学上達の秘訣」を秘密に公開しておきましょう。断っておきますが、以下の各項はお互いに切り離せない内面的関係があるのでありまして、その一つを除いて他を考えることの不可能なるはもちろんのこと、その中のたとえ1箇条が欠けても全体が意味をなさなくなることほど左様に練りに練った名プログラムなることをお忘れなきようお願い致します。

 

語学上達の秘訣10箇条

 

第1条 慣れること

第2条 慣れること

第3条 慣れること

第4条 慣れること

第5条 慣れること

第6条 慣れること

第7条 慣れること

第8条 慣れること

第9条 慣れること

第10条 慣れること

 

読者:なんだ、要するに慣れろという一言でつきるじゃありませんか。

 

講師:いや、それは誤解です。そういう誤解をされはしないかと思って実は内々心配していたのです。「要するに慣れる」なんてのじゃありませんよ。その「要するに」がはなはだいけない。要したりなどするからムチャクチャになってしまうのです。どうか要したりなどしないでください。要するがごときは実に寒心の至りです。決して要したりなどしてはいけませんよ。

 

読者:ではどうしたらよいのですか。

 

講師:各条項を順を追って実行するのです。先ず慣れる、その次には慣れる、それからまた慣れる、慣れてしまったら今度は慣れる、そうしてから後でまた慣れる、それからまた改めて慣れる、それからまたさらに慣れる、すると今度は慣れる、遂には断然慣れる、その上にもう一つ慣れる、これでおしまいです。

 

読者:まるで禅問答みたいですな。

 

講師:いや、ごく当たり前のことを言っているのです。これより外に語学に上達する秘訣はありません。頭の良し悪しなんてことは全然関係しない。慣れれば誰だって頭が良くなるのです。しかし並大抵の慣れ方では駄目です。「要するに」なんてのは駄目です。そんな了見ではとうてい上達の見込みがありません。

 

「引用終了」

 

まさにこれこそが語学上達の真髄ではないだろうか。愚直に繰り返すことが重要なのだ。

 

他にも村上春樹が面白いことを述べてる。

 

「つらいかもしれませんが、何も学ばないよりは、何かを学んだ方が幸福なのです。痛みはやがて通り過ぎていきます。学んだことだけが残ります」

 

慣れる作業はつらいかもしれないが、その痛みは一時的なものでやがて過ぎ去っていく。長期的には慣れた者勝ちなのだ。

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