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慶應義塾大学の英語 (文系編)

慶應義塾大学は英語の努力が最も報われる大学だが、その分私立大学の中では非常に難しい部類である。高校の授業レベルをはるかに超え、「慶應に向けて自分から積極的に高いレベルを目指したか」が問われる。受け身のスタイルではなかなかこの学校が求める英語力に到達しない。

 

まずは今回は文系学部を中心に大雑把に概要を見てみたい。

 

全体に占める英語の配点は、

文学部150点/350点。

経済学部200点/420点。

法学部200点/400点。

商学部200点/400点。

総合政策学部200点/200点。

環境情報学部200点/200点。

(SFCは200点分の小論文もある)

 

慶應文系学部はどこも英語を重視しており、特に長文の出来が合否を分ける長文を制する者が慶應を制するといえる。

 


それでは、各学部の出題形式を見てみたい。

 

まずは文学部から。

難易度★★★☆☆

 

文学部は少し特殊で、英和、和英、英英の3種類の辞書のうち、2種類の紙の辞書の持ち込みが許可されている。英文和訳、和文英訳など記述式が中心で国立型の出題といえる。すぐに解き終わる人はあっという間に終わるが、苦戦する人は辞書があっても苦戦する。なぜなら、辞書持ち込みOKというのは、語彙力の勝負ではなく、しっかりした文法の知識があるか、国語力はちゃんとしてるか、様々な要素を見てくるからである。文学部の英語は総じて現代文の力までセットで見ようとしてる。

対策としては、自分の手を実際に動かして和訳、英訳をし、添削を受けることである。国立型の勉強をしてると、それがそのまま活かされる。

目標としては90点以上はとりたい。

 

次に経済学部の英語にいきたい。

難易度★★★★☆

 

経済学部の英語は長文が非常に長いという特徴がある。そして文法力だけ試すような大問がないのである。長文自体は英字新聞や洋雑誌からとったわけでもなく、大学オリジナルの記事のようである。ちょうど時代を反映したものが選ばれやすい。

経済学部の最大の特徴は長文に関連した内容の自由英作を書かされること。こちらの出来栄えで大きく差がつく。実際に自分の手を動かして書く練習をするのが大事だ。

そして面白いことに、近年では長文はなぜか日本語で、設問だけ英語というスタイルを出すようになってきている。国語力が怪しい帰国子女をフィルタリングするためであろうか。経済学部も英語で国語力をチェックしてるのは間違いない。そしてどの設問でも論理力を問うものがある。読解の内容から、誰が内容に賛成してるか、反対しているか、どちらともいえないか、見極めるものが出される。こちらも英語を使った現代文、論理力の試験になっているといえる。

目標スコアは、数学受験のA方式なら120点以上、地歴受験のB方式なら140点以上である。

 

次に法学部。

難易度★★★★★

 

法学部の英語は非常に難度が高い。最初の発音問題は解きやすいが、会話問題は一筋縄ではいかない。知識力で解ける問題ではなく、前後のロジックが正しいか見極める力が問われている。そして高校レベルの英語をはるかに超えた語彙も出される。英検1級レベルか、それ以上である。しかし実際には文脈から推測可能なものもあるので、英検1級のパス単などをこちらの学部専用にやる必要はないといえる。法学部はどの設問も経済学部とは違った形で英語を使ってロジックを問う設問になっている。制限時間も厳しいので素早く解く必要がある。

スコアの目標としては130点以上。できれば140点以上。

 

法学部は英語がかなり得意な受験生が集まり、中に入ってからも英語力でクラス分けがされるが、最上位の「外国語特殊」というクラスに入るには、そのクラスが用意する筆記試験を突破するか、国連英検特A級、IELTS8.0以上、TOEFLiBT110点以上を取得してるかが条件となっている。つまり、これらに合格する力があっても慶應では英語の授業は免除にならないというなかなかハイレベルな展開になってる。

 

そして商学部。

難易度★★★☆☆

 

商学部の英語は経済学部、法学部と比べると幾分か解きやすい。しかし長文がたくさん出題されるのでテキパキ解く必要がある。全体的に速読力がモノをいう。解き方としては、後ろの方の語彙問題から攻略し、残った時間をたっぷり長文に回すこと。そうすれば長文を後から二度読みして焦って間違った方にマークしてしまうミスは防げる。もちろん時間切れで知識問題でいけるはずの最後の方の問題を解けずに終わってしまうこともない。

 

出題される英文はGuardian, Economist, TIME, Harvard Business Reviewなど、洋雑誌からのものが多い。つまりこのくらいは読める力を持った学生に来てほしいというメッセージである。中に入るとTOEICでスコア別にクラス分けがされる。レベル4が最上位でレベル1が一番苦手な人用である。

数学を使うA方式なら130点以上、数学を使わない論文テストのB方式なら150点以上をとりたい。商学部はB方式だと枠が狭くなるので、特に高い英語力が求められる。反対にA方式では数学が合否を握る。数学で取れれば英語で少しこけても大丈夫ともいえる。

 

最後にSFCの総合政策学部と環境情報学部。

難易度★★★★☆

 

こちらは双子のような学部で、出題形式は極めて似ている。長文が2題出題され、文章内の語彙(3択)と、内容一致問題(4択)である。どこか経済学部に似ている。慶應SFCを受験するなら、ジャパンタイムズはもとより、TIMEやNEWSWEEKなども読んで骨太の語彙力、読解力、そして話題についていけるだけの時事問題に対する感度も磨いておきたい。とるべきスコアはおおよそ130点以上。

 

慶應は学部が変われば出題形式ががらりと変わる。早稲田は学部ごとにわりと似ているが(理工だけは全く違う)、慶應はまるで別大学のように出し方が違う。慶應は学部ごとに対策が必要だ。

しかし英語力そのものが問われていることに変わりはない。

いきなり英字新聞や洋雑誌や難度の高い単語帳に飛びつくのではなく、まずは文法の基礎をしっかりおさえること。そして読解を中心にした学習をすること。慶應レベルの学習参考書が少ないと感じたら、ジャパンタイムズの社説などを積極的に利用すること。その際、リスニングだけでなくしっかり音源を利用すること。地道な努力が報われる。そして一番大切な点として、慶應の英語を突破するには、学校の英語の授業を受け身で受けているだけでは不十分であること。自分から動いて対策したかが問われている。慶應は受験科目こそ少ないが、その分、その少ない世界で実に様々な要素(論理力、活字力、語彙力、表現力など)が濃縮されてチェックされている。

 

 

 

 

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